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発達障害の教育学

 
 
発達障害の教育学

窪島 務 著

A5判上製 746ページ
定価:4500円+税
ISBN978-4-89259-838-8

 

滋賀大キッズカレッジの実践をもとに、発達障害とくに学習障害・ディスレクシアについて国内外の研究成果・理論モデルを詳しく検討・解説。多数者教育学から真の「多様性の教育学」の創造をめざす。



第1章 発達障害と学習障害
第1節 流行語となった「軽度発達障害」と「発達障害」
第2節 特別支援教育という名前の障害児教育
第3節 学習障害の理論―学習障害と読み書き障害―
第4節 学習障害の歴史の概観
1 前史
2 初期の医学的発見―「語盲」(ワード・ブラインドネス)の発見―
3 学習障害の歴史的概観―ベンダーおよびハラハンら―
4 ヨーロッパにおける歴史
5 音韻論的転回
6 ベンダーの「消滅段階」(1988-2001)、ハラハンらの「激動期」(1985-2000)に何が起きていたのか?
第5節 日本における発達障害教育、学習障害教育の制度化への経過
第6節 DSM-5(2013年)改訂の意義―「小さい傘」から「大きい傘へ」―

第2章 読み書き障害(dyslexia)の概念
第1節 読み書き困難と障害の概念の要点
1 多面的・多元的事象としての読み書き障害
2 「読み戦争」―国語的読み指導と読み書き困難(障害)―
第2節 学習障害(LD)と読み書き障害(ディスレクシア)
1 読み書き障害(ディスレクシア dyslexia)とは?
2 多彩なディスレクシア
3 ディスレクシアは、読み障害か、読み書き障害か?
4 イギリスにおける第4段階「現代理論」(Modern theories)1970-2000
5 読み書き障害の生成機序および理論モデル
6 二重ルート(カスケード)モデル:dual-route(cascaded)model
7 コネクショニストモデル(トライアングルモデル)
8 「読み」と「書き」の分離
9 日本語における読み書き障害
第3節 川村秀忠の「内発的動機づけ」理論
第4節 書字言語の違いによる読み書き習得の違い

第3章 2000年以降の米国LD事情―伝統的LD概念の批判から「介入への応答」(RTI)およびその批判―
第1節 上からの体制派改革運動としてのRTI(Response to Intervention)
第2節 RTI(Responsiveness or Response to Intervention)とその批判―「介入への応答」(RTI)
は何か?―

第4章 読み書き障害の主要な理論モデル
第1節 様々な理論モデル
1 音韻意識(コア)障害仮説
2 二重障害仮説-高速自動化呼称と読み書き障害
3 視覚的認知障害仮説(大細胞障害仮説)
4 小脳障害仮説(旧自動化障害仮説)
5 諸理論の統合の模索
第2節 コンポネント(多要因)モデル
第3節 読み・書きの段階モデル―アルファベット圏の場合―
第4節 読み書き障害の神経基盤
1 読み書きの諸要因に関する神経科学
2 読み書き障害の「読み不安」と神経科学

第5章 スクリーニング・アセスメント・診断基準
第1節 スクリーニングとアセスメントの区別と関連
第2節 診断基準

第6章 発達障害をめぐるパラダイム論争
第1節 パラダイム論争―病理的概念か教育的概念か―
第2節 エビデンス論と教育実践の固有性
第3節 「脳科学」と教育

第7章 障害の併存概念とアスペルガー症候群
第1節 学習障害の「併存」について
第2節 H. Aspergerと「アスペルガー問題」―アスペルガー症候群理解の前提として―
1 オーストリア治療教育学の祖(Stammvater)
2 ハンス・アスペルガーの方法論的視点および治療教育学の特徴
3 予後と教育指導の意義
4 1938年論文の沈黙と国家社会主義への態度

第8章 ひらがなと漢字の読み書き困難(障害)
第1節 ひらがなの読み書きの習得と指導
第2節 早期教育論と音韻意識の指導
第3節 漢字の読み書き困難とその指導
第4節 読み書き困難の具体像

第9章 算数・英語・音楽の学習困難(障害)
第1節 発達性算数困難(障害)の歴史と定義
第2節 英語学習困難(障害)
第3節 音楽学習困難(障害); musical dyslexia, amusia, dysmusia

第10章 キッズカレッジの理論と実践の構想―人格発達と教育指導の固有性・独自性―
はじめに
第1節 教育実践・臨床における「発達」概念の再定位
第2節 発達障害理論における発達の位置
第3節 障害のある人にとっての障害構造一階層論
第4節 人格発達・教育の階層の独自性・固有性―キッズカレッジの弁証法的発達障害階層モデル―
第5節 キッズカレッジの「教えない」ということ
1 「教えること」の問題性
2 キッズカレッジの指導、「教える」内容

第11章 インクルーシブ教育と発達障害教育の展望を切り開くために
第1節 多数者教育学から真の「多様性の教育学」の創造へ
第2節 インクルーシブ教育とは何か?―権利としての「特別ニーズ教育」の保障―
1 カテゴリー分類と特別ニーズ教育
2 中学校支援学級・支援学校高等部卒業生の進路問題
3 インクルーシブ教育か 特別ニーズ教育(SNE)か
第3節 教育内容のモディフィケーション
1 サラマンカ声明の核心:通常学級の教育内容・方法の改革
2 「合理的配慮」の批判的検討
3 ドイツにおける「合理的配慮」の具体的措置
第4節 「統一的な教育課程」の原理と内的・外的多様性の保障
第5節 LD学級、LD学校、発達障害児学校などの必要性
第6節 「学習規律」―「指導」と「管理」の関係論再論―

あとがき