間文化(インターカルチュラル)の視点から文化と文化の間に生ずる対立と融和、言語と芸術などを探る刺激的試み。フランス・ドイツ・オーストリア・韓国など国内外の研究者が多極化する現象学を斬新な視点から論じる。
(I) 総 論
「間文化性」と哲学―特に西田、鈴木、西谷をめぐって―(上田閑照)
間文化性への現象学的パースペクティブ(ベルンハルト・ヴァルデンフェルス)
(II) 言語と共同体
言語の複数性と共同性
―フッサール、ベンヤミン、デリダの翻訳論をめぐって―(亀井大輔)
間文化的な言語経験と動機づけ(神田大輔)
(III) ヨーロッパの運命/使命
ヨーロッパの運命としての理念化(クラウス・ヘルト)
ヨーロッパとポスト・ヨーロッパ ―ヤン・パトチカの哲学的反省における―(カレル・ノヴォトニー)
ヨーロッパ、そしてその他者との関わり方への反省
―レヴィナスとデリダの視座による間文化性への批判―(ミヒャエル・シュタウディグル)
(IV) 対立と宥和
逸脱としての文化 ―管理社会における間文化性―(青柳雅文)
文化的、イデオロギー的な遭遇と衝突の状況についての現象学的考察(ローズマリー・ラーナー)
(V) 芸術と間文化性
間文化性と音楽学 ―雅楽の時間概念と知覚の研究から―(藤田りん子)
沈黙、さまざまな沈黙(マウロ・カルボーネ)
風土、持続可能性、空間の倫理
―和辻哲郎における文化的風土学と住宅建築―(ペク・ジン)
芸術、地平、「浮かんでいる世界(浮世絵)」(ピエール・ロドリゴ)
あとがき
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