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人間的価値と正義

日本図書館協会選定図書
 

人間的価値と正義

牧野広義著

四六判上製 286ページ2,625円(税込)
ISBN978-4-89259-710-7

 

 ジョン・ロールズの『正義論』以来議論されている「正義」問題を、私は「人間の尊厳」と「人間の権利」を実現する歴史的・社会的実践の観点から考えたいと思う。そのさい、マルクスの哲学を手がかりとして、人間的価値の歴史的実現を考えたい。本書では、このような視点から、「自然の根源的価値」を論じ、サンデルの「正義論」を検討し、生命倫理における「人間の尊厳」、環境倫理と「環境的正義」、脱原発の倫理、労働と「人間の尊厳」と「企業の社会的責任」を論じ、さらに今日における「正義と平和」の問題を論じている。(まえがきより)

第1章 人間的価値の哲学に向けて
――マルクスの哲学思想を手がかりに
はじめに
一 「現実の主体的把握」と価値の階層性
二 「人間生活の社会的生産」と価値の階層性
三 社会発展と価値の歴史性
四 「必然性の国」と「自由の国」における価値の問題
第2章 自然の根源的価値について
はじめに
一 自然の道具的価値と内在的価値
二 自然の「内在的価値」の問題点
三 自然は人間にとって「根源的価値」
四 自然の「根源的価値」の性格
五 自然の根源的価値をめぐって
――高田純氏との討論
第3章 マイケル・サンデルの正義論について
はじめに
一 サンデルの正義論の背景と特徴
二 サンデル『公共哲学』における正義と善
三 サンデルの「白熱教室」における正義論
第4章 生命倫理と「人間の尊厳」
はじめに
一 「人間の尊厳」とは何か
二 生命倫理と「人間の尊厳」をめぐる日本での議論
三 ドイツでの生命倫理と「人間の尊厳」をめぐる議論
四 リベラル優生学vs.人間の尊厳
補論 重い障害をもって生きること「人間の尊厳」
第5章 環境倫理学と環境的正義
はじめに
一 「自然中心主義」環境倫理学の問題点
二 自然の「内在的価値」か、人間にとっての「根源的価値」か
三 環境の社会的倫理の確立のために
四 環境的正義と環境民主主義
第6章 ドイツの環境倫理思想と脱原発
はじめに
一 ドイツの環境倫理思想の特徴
二 なぜ「倫理委員会」なのか
三 「倫理委員会」設置の経緯
四 福島原発事故の衝撃
五 未来のための共同
六 共同事業の根本思想と具体的内容
八 ドイツの倫理委員会報告書から学ぶ点
第7章 労働と「人間の尊厳」
はじめに
一 「人間の尊厳」とはなにか
二 労働と社会的承認
三 「承認への欲求」と「承認からの排除」
四 「ディーセント・ワーク」の実現
五 「企業の社会的責任」と「コンプライアンス」
第8章 企業の社会的責任について
はじめに
一 ライブドア事件と企業倫理
二 JR西日本と福知山線脱線事故
三 福島第一原発事故と企業倫理
四 「企業の社会的責任」の国際的動向
五 日本での「企業の社会的責任」論
第9章 二一世紀の正義と平和憲法
はじめに
一 「正義」とは何か――「人間の尊厳」と「人権」
二 日本国憲法第九条をめぐって
三 カントの平和論 vs. ヘーゲルの戦争論
四 日本国憲法の戦争放棄・戦力不保持
五 日本の戦争責任と憲法九条
六 戦争放棄と人権――平和的生存権の意義
七 平和憲法と「新自由主義」・「新保守主義」との矛盾
八 平和憲法の生命力