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トベ達の悲歌   日本「国つ神」情念史3

 
 

トベ達の悲歌

津名道代 著

四六判上製 964ページ
定価:5000円+税
ISBN978-4-89259-703-9

 

日本「国つ神」情念史(全5巻)の第3巻。

神武天皇の弓先に止まった「金鵄(きんし)」とは? 誰なのか?
古代文献(『古事記』『日本書紀』『先代旧事本紀』『古語拾遺』『風土記』等)にわずかな痕跡を残す28人の「トベ」たち。そのなかに「金鵄」はいるのか。 
弥生の邑クニ(むらくに)を背負って、神武東征軍に立ち向かい、誅され、娶(めと)られていった「トベ」達。日本列島各地に残る「卜べ」の痕跡と伝承・物語からその実像を追う。

第一章 「トベ」達のいた時代
1 史の乳房
2 「トベ」一覧―古文献にみえる人名・神名
3 日本民族形成、最初の山場―母系クニから父系国家への発端
4 東征軍の将・神武の弓先に止まった「金鵄」とは何か?(上)
5 「倭国大乱」とトベ達と民衆と
6 いま、新たな旅立ちに向けて
第二章 さまざまなアプローチと、なお残る問題点
1 失われた語と実体
2 三方面からのアプローチ
(一) 地域クニの「族母的首長」―高群逸枝説
(二) 巫女の性格をもつ、原始的小集団の女首長―門脇禎二説
(三) 「トベ=蛇神」―富来隆説
第三章 地域女性首長「トベ」と蛇族「大和イヅモ族」・「イヅミ川水系」環濠国
1 大和イヅモ族と、〈大和イヅモ連合〉・〈広イヅモ〉
2 「トベ」と、ヒメ・ヒコ制(祭政二元女男一対首長統治体制)
3 蛇神の地「古大和」と、その「蛇神」信仰の構造
4 「イヅミ川」の環流する、環濠国〈大和イヅモ〉
5 大和イヅモ「連合」の範囲(のちの西国三十三番観音霊場)
6 〈広イヅモ〉の特異地点(「諏訪」と、「出雲」)
7 「タタリ」の発源―民族のトラウマ
第四章 神話のなかの「トベ」
1 級長戸辺命―風の女神と葛城二上山
2 石凝戸辺(石凝姥)先住「倭鍛冶」集団の首長
3 オホトノヂ・オホトノベ(大戸之道神・大戸之辺神)について
第五章 神武東征軍に誅された三人のトベ(トベA群)
1 名草戸畔―紀北・紀ノ川下流地域「名草の邑クニ」の女性首長
(一) 名草という地、迫り来る東征軍船団
(二) 文献記事はただ一つ。だが…
(三) 表向きの祭神に、トベならぬ「名草姫」の名すら出さず、カムフラージュしながら、「名草トベ」の遺体の部分を分けて、守り祀ってきた、と伝える四つの神社
(四) 「名草ノ邑クニ」、二つの中心域 ―渚≠ニ奥ノ手
(五) 紀州「土蜘蛛」―ヒメ・ヒコ勢力の構図
(六) 日本朝敵第一号・紀州名草の「土蜘蛛」
(七) 血、流れ出ずること、二日に及ぶ
(八) 『南海道紀伊国神名帳』における地祇「名草姫大神・名草比古神」の謎
(九) 「名草姫・名草彦」一対祭神と、中言神社
(十) 日前国懸神宮「境内配置」の謎
(十一) 「中言」の意味と、「名草クニ」と大和葛城との深い関係
(十二) 阿備の七原・安日彦・善知鳥伝説
(十三) 近世への風穴をあけた紀州雑賀衆
(十四) 名草という地名の語源は?
(十五) 今もなお、人を呼ぶ「名草トベ」
2 丹敷戸畔―熊野の「おなり神」と雄大なグスク
(一) 大地母神の影向―花の窟
(二) 堆積する「紀伊半島熊野風土情念」の連鎖の中で
(三) 丹敷戸畔―その名と版図
(四) 東征軍、熊野・丹敷戸畔のクニへ
(五) 丹敷戸畔、四つの墓
(六) 「おな神の森」―丹敷戸畔四つの墓(その1)(新宮市三輪崎)
(七) トベの森―丹敷戸畔四つの墓(その2)(串本町二色)
(八) 丹敷戸畔の塚―丹敷戸畔四つの墓(その3)(三重県度会郡)
(九) 丹敷戸畔命墓―丹敷戸畔四つの墓(その4)(和歌山県東牟婁郡)
(十) 二十一世紀、満ち来る潮
3 新城戸畔―ナガスネヒコの本拠「トミ」の巫女守将
(一) 王者南面の地相をもつ「新城」
(二) 大和湖(広海)
(三) 「三処の土蜘蛛」の居場所(上)
(四) 「三処の土蜘蛛」の居場所(下)
(五) 「トミ」という地と、鳥
(六) 大和盆地東南部の「トミ」と、西北部の「トミ」
(七) 信仰の様がわり―蛇神信仰から日神信仰へ
(八) 湖を抱く都城構想
(九) 東征軍の将・神武の弓先に止まった「金鵄」とは何か?(下)
(十) 皇紀二千六百年と、金鵄聖跡をめぐるやまと南北戦争
(十一) 金鵄は何ものか?
(十二) 新城戸畔の痕跡の無さ
(十三) 三炊屋媛への遠かった道
(十四) 矢田坐久志玉比古神社の祭神と、お旅所・主人神社の怪
(十五) 三炊屋媛、真向異なる二つの伝承
(十六) 浮かびくる金鵄と新城戸畔の正体
(十七) 戦後、金鵄はどう扱われたか?
(十八) 「金鵄」・「三炊屋媛」・「新城戸畔」―まとめ
(十九) のちの世に(その1)
  「トミの大王・ナガスネ(ヒコ)」への鎮魂情念
(二十) のちの世に(その2)
  「三処の土蜘蛛」=大和国中敗者の地から、千年・二千年をへて噴き出した、古層〈大和イヅモ〉の思想エネルギー
第六章 初期大和王権と縁組みする「トベ」達(トベB群)
1 春日の建国勝戸賣と沙本之大闇見戸賣―大和北部先住豪族と、孫娘・沙本毘賣皇后の悲劇(垂仁朝)
2 荒河戸畔とその娘・崇神天皇妃・遠津年魚眼眼妙媛―紀伊国造と崇神朝
3 山背の「トベ」達―刈幡戸邊、弟苅羽田刀辨、綺戸邊
(一) 山背国の佳人と「天つ神」大和初期王権
(二) 蟹の恩返し民話(蟹幡の蟹幡寺)と三室戸寺の蛇
(三) トベB群の典型―弟苅羽田刀辨
4 神やどる田上山地と谷上刀俾
5 尾張・美濃先住豪族の「トベ」達と景行朝
(一) 真敷刀俾―熱田神宮の地主神、宮簀媛の母
(二) 氷上姉子(宮簀媛)と日本武尊
(三) 志理都紀斗賣(尾綱真若刀俾命)
第七章 イヅモ族女性首長「トベ」最後のかがやき――丹波の「氷香戸邊」と出雲神宝事件
1 「氷香トベ」、朝廷に物申す―巫女・審神者を兼ねた地域首長
2 濃厚な「イヅモ」風土―丹波
3 「国つ神」情念にこもる「審神者」性と、「タタリ」観念の具体化
4 見よ、「トベ」は甦る――二千年を経て
あとがき