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概説社会経済学

 
 

概説社会経済学

角田修一著

A5判 307ページ
2,835円(税込)
2011年10月刊
ISBN978-4-89259-660-5

 

社会経済学は、資本制経済の発展に応じて各応用分野において豊かな研究成果を生みだしている。本書では、アメリカ・ラディカル派経済学の成果を積極的に取り入れ、「資本一般」の範囲を超えるより具体的な内容を展開する。

はじめに
第1部 社会経済学の基礎
第1章 社会経済学とは何か(introduction)
1.ポリティカル・エコノミー
2.社会経済学の基本的特徴は資本制経済の認識にある
3.経済学の方法:抽象と具体、現象と本質、主要なものと次要なもの、偶然と必然、変化と発展
4.マルクスの史的唯物論と経済学の体系

第2章 社会経済学の人間観―「ホモ・エコノミカス」から「発達する人間」「協同する種」へ
1.経済学の前提としての人間観
2.協同する種>―ラディカル派社会経済学による人間性の理解
3.人間観と経済学の定義

第3章 経済学 対 経済学―社会経済学対新古典派経済学
1.社会の経済的構造
2.経済体制と経済学(ポリティカル・エコノミー対エコノミックス)
3.経済学説の展開

第4章 経済思想と経済倫理―経済体制の理念と価値基準
1.経済学と価値判断
2.自由主義の意義と限界
3.民主主義の問題
4.社会主義の問題
5.経済体制の評価基準:効率性、公正、民主主義、コミュニティ

第5章 労働を基礎とする経済と社会
1.自然のなかの経済
2.社会の経済的構造

第6章 必要と剰余
1.必要と剰余という区分
2.経済的階級と経済における権力
3.人口・階級・地域社会および家族

第2部 資本制経済の基礎理論
第7章 資本制経済(概観)―商品生産・資本所有・賃労働―
1.商品生産
2.資本の私的所有
3.賃金労働
4.剰余生産物と利潤
5.資本蓄積による経済の変化

第8章 資本制以前の経済体制―原始共同制、古代奴隷制、中世封建制その他
1.原始共同制
2.古代奴隷制
3.中世封建制
4.封建制の解体と資本制経済の形成

第9章 商品生産と労働
1.商品の2要因
2.価値量
3.商品生産の社会的性格―いわゆる市場経済の特質

第10章 商品交換と貨幣
1.商品交換から貨幣へ
2.貨幣それ自体の機能には5つある
【補説:貨幣に関する現実と経済常識】

第11章 資本制商品生産その1―賃金労働
1.資本と賃労働
2.賃金形態としての労賃

第12章 資本制商品生産その2―剰余価値の生産
1.資本による剰余価値の生産
2.剰余価値生産の展開

第13章 資本蓄積と雇用
1.資本による再生産
2.単純再生産
3.資本蓄積による拡大再生産
4.資本の有機的構成とその変動
5.相対的過剰人口と労働者の階層区分
6.労働者の状態の改善のために必要なこと

第14章 資本循環と回転する資本
1.資本の循環
2.流通に必要な費用(「流通費」)
3.回転する資本―固定資本と流動資本の区別

第15章 再生産表式
1.資本の再生産のための条件
2.単純再生産における年総生産物の転換
3.拡大再生産における年総生産物の転換

第16章 利潤率
1.剰余価値の利潤への転化と費用価格
2.利潤率
3.利潤率の均等化傾向と資本の競争
4.現代日本の平均利潤率と生産価格
5.平均利潤率の低下傾向

第17章 商業資本。商業利潤と商業労働
1.商業資本が自立化する根拠
2.商業利潤
3.商業労働

第18章 利子生み資本と信用制度
1.利子生み資本
2.信用と信用制度
3.擬制資本または架空資本
4.中央銀行

第19章 地代と近代的土地所有
1.土地所有の実現形態としての地代
2.差額地代
3.絶対地代
4.土地所有と土地価格
5.資本による土地所有とバブル経済

第20章 資本制経済の総括:歴史と傾向
1.諸階級の収入とその源泉―三位一体定式の批判
2.資本制経済における国家と財政
3.資本制経済の生成・発展と歴史的傾向

第3部 資本制経済の動態
第21章 利潤率の決定要因と闘争
1.利潤についての諸説
2.社会経済学のミクロ経済学
3.利潤とは何か
4.利潤率の決定要因

第22章 個別資本間の競争と資本の集中
1.利潤のための競争
2.競争の諸形態
3.競争のための投資
4.競争は本質的に動態的(dynamic)である
5.利潤率の均等化傾向
6.経済力の集中にむかう傾向

第23章 労働と賃金―賃労働の特殊理論
1.労働と社会
2.支配命令経済(command economy)としての資本制企業
3.労働者と雇用主とのあいだの闘争
4.労働規律:アメとムチ
5.労働市場、賃金、労働強度

第24章 総需要と総供給―マクロ経済の動態
1.総需要と総供給
2.失業と財政政策(fiscal policy)
3.景気循環とビルト−イン・スタビライザー
4.投資、総需要、金融政策
5.賃金、総需要、そして失業

第25章 マクロ経済政策のジレンマ
1.高雇用による利潤圧縮
2.輸出、輸入、総需要
3.国際貿易とマクロ経済政策
4.金融政策とフィスカル・ポリシーの衝突
5.完全雇用達成のための制度的変革
6.結論

索引


角田修一(かくたしゅういち)

立命館大学経済学部教授。社会経済学、生活経済論、経済学方法論。
著作:『生活様式の経済学』(青木書店 1992年)、『「資本」の方法とヘーゲル論理学』(大月書店 2005年)、『概説生活経済論』(文理閣 2010年)その他編著多数。